バードリサーチ   ツバメ図鑑

ツバメの集団ねぐらと渡り

巣立ってまもない幼鳥や子育てを終えた親ツバメは、巣を離れて、水辺のヨシ原などで集団で夜を過ごすようになります。 このような場所を「ツバメの集団ねぐら」と言います。

集団ねぐらに集まるツバメの数は7月に入ると増え始め、関東地方では7月末から8月初めにかけて最大になります。ねぐらに集まる時期、ツバメたちは長い渡りに備えてたくさんの昆虫を食べて、飛ぶためのエネルギーになる脂肪を蓄えます。体力のある成鳥から先に渡りを始めるので、シーズン後半の集団ねぐらは幼鳥の割合が高くなります。(写真:渡辺仁)

東京都日野市の多摩川にあるツバメの集団ねぐらです。水辺のヨシ原が最も好まれるねぐら場所ですが、そうした場所がないときには、街路樹、竹藪、トウモロコシ畑のような場所にもねぐら入りします。

ツバメの渡り

日本のツバメがどのような経路で渡りをしているかは分かっていませんが、ツバメが越冬地へ向かう秋は、タカの渡りを観察している場所でツバメの渡りが観察されます。タカが渡る場所は、岬が海へ突き出している場所(東京湾の富津岬や、三河湾の伊良湖岬などは対岸に渡るために都合がいい)、や山地で標高が低いなど何かの理由で通りやすい場所です。私たちが長野の白樺峠でタカのレーダー調査をしたときも、小鳥らしいレーダー画像が得られていて、ツバメなのかもしれないと推測しています。

ツバメは大きな群れではなく、小群か単独で日中に渡りをするようです。集団ねぐらの個体数ピークが本州の東から西へと移っていくことから、秋の渡りのときは集団ねぐらを伝いながらゆっくりと進んでいくようです。一方、春の渡りでは小笠原諸島・伊豆諸島で南の島からツバメが飛来し始めることから、中継地がない海上をかなりの距離飛んで、渡ってきている可能性も考えられます。