ツバメ図鑑

集団営巣(ルーズコロニー)

軒下にツバメの巣がいくつも並んでいることがあります。どうしてなのでしょう?ヒミツは、巣と巣が仕切られていることにあります。

仕切の間に並ぶツバメの巣(韓国南部の密陽で撮影) 。

ツバメは集まって巣を作る

ツバメが集まって巣を作っている場所を集団営巣地(またはコロニー)と言います。商業施設などではツバメの巣がいくつも作られている場所があります。また、一軒にひとつの巣があるような住宅地でも、特定の通りや町内にツバメの巣が集中していることがよく見られます。巣同士をくっつけて作るイワツバメほどではありませんが、ツバメはゆるやかに集まって巣を作る習性があり、このような集団営巣地はルーズコロニー(Loose Colony)と呼ばれます。

さらに、ひとつの建物にたくさん巣がある場合は、その建築の様式が巣を集中させる原因になっていることがあります。その様式とは、ツバメの巣と巣を仕切る構造の存在です。東京大学の藤田剛さんが神奈川県平塚市の牛舎で行った調査によると、牛舎の天井に縦横に走る梁に作られた巣は「ある巣から別の巣が見えない」というルールで作 られていたそうです。また別の章で説明しますが、ツバメにはこっそりよその巣に卵を産んで、他人に自分のヒナを育てさせる習性があります。 そこで、留守にしていることが隣人(ツバメです)にバレないような位置関係で巣を作っているのではないかと、藤田さんは推測しています。

このような巣作りのルールは、住宅の軒先でも観察できます。2つ以上の巣があるお宅で、お互いが見える位置にある巣が同時に使われることは、ほとんどないはずです。

土間の梁に作られた巣。互いの巣が見えない位置にある(群馬県高崎市)。

仕切り板でツバメの巣を増やせるか?

埼玉県の道の駅庄和で、仕切り板を立てるとツバメの巣の密度を高められるか確かめてみました。道の駅庄和では、軒下に奥行20cmほどの板状の部分があ り、その上に数メートルの間隔で巣が作られています。実は、これは「互いの巣から見えない」ルールに反するのですが、ツバメが好む場所では こうしたルール破りも起こります。それでも、巣同士はある程度の間隔を置いて作られていました。しかしある巣のそばに仕切り板を立てると、その板のすぐ裏側に巣が作られたのです。こうした工夫をすれば、狭い場所でもたくさんのツバメに巣を作らせてあげることができます。もっとも、この方法は、ツバメが多いほどハッピーという方のご自宅で試されることをお勧めいたします。

道の駅庄和(埼玉県)に設置した仕切板。左はコルク粘土の人工巣、右は本物の巣。

参考文献

Fujita G. & Higuchi H. 2007. Barn swallows prefer to nest at sites hidden from neighboring nests within a loose colony. J Ethol 25:117-123.