越冬ツバメ

昆虫を餌にしているツバメは、冬になると昆虫が多い南の地方に渡っていきます。日本のツバメの多くは東南アジアで越冬していると考えられていますが、冬でも温暖な九州地方の、特に宮崎県と鹿児島県では越冬ツバメが普通に見られます。

宮崎市の店舗の軒下。お店の人が置いた竹棒の上に越冬ツバメとまって、ねぐらになっている。(2017年12月3日撮影)

鹿児島県姶良市。越冬ツバメのために、たくさんのカーテンレールが設置されている。(2009年2月3日撮影)

冬は寒くなる本州でも、大きな川や湖沼のそばでは冬でも飛翔性昆虫が発生するため、少数のツバメが越冬している場合があります。しかし、かわいそうですが、気温が下がっても南に移動できずに死んでしまうこともあります。下の写真は、2015年12月に石川県にある河北潟の側のお宅で越冬していたツバメです。玄関の天井にストーブの排気管からの熱気が排出され、わずかに暖かいので、この場所にある古巣を数羽のツバメがねぐらに使っていました。しかし残念ながら寒さが厳しかったのか、エサの虫が少なかったのか、、ツバメは1羽また1羽と命を落とし、12月末にはこの場所からいなくなってしまったということです。

2015年12月に石川県の河北潟近くで越冬していたツバメ(その1)。

2015年12月に石川県の河北潟近くで越冬していたツバメ(その2)。

東南アジアの越冬地

日本を去ったツバメたちは東南アジアで冬を過ごします。環境省が行っている足輪調査によると、日本のツバメは、台湾、フィリピンからマレー半島、インドネシアという地域で冬を過ごすことが分かっています。

越冬地では、数万羽以上のツバメが電線にとまって夜を過ごす集団ねぐらが東南アジア各地で知られています。電線ではなく、日本で見られるような自然のなかのねぐらもあるのかもしれませんが、東南アジア越冬地のツバメについての情報はほとんどありません。

足輪調査で判明したツバメの越冬地(渡り鳥アトラス 鳥類回収記録解析報告書スズメ目編1961年-1995年 環境省より)。

これを見ると、日本のツバメはフィリピンに行き、さらにインドネシアまで渡っているようです。

東南アジアでは野鳥の足環調査があまり行われておらず、日本で足環を付けられたツバメがいても分からないことが多いのです。フィリピンでは足環調査をしていたために多くの足環付ツバメが見つかっていますが、必ずしも日本のツバメの越冬がフィリピンに多いということではありません。

マレーシアの越冬ツバメ

日本から渡ったツバメかどうかは不明ですが、マレーシア(ボルネオ島)ではたくさんの越冬ツバメが見られます(撮影 加藤和明)。

ボルネオ島のkabong

ボルネオ島のSarikei

ボルネオ島のSarikei

ボルネオ島のSarikei

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昨年(2017年)のことですが、日本野鳥の会宮崎県支部の支部報の4月号に「宮崎市内で1月2日にツバメの雛が孵った」との記事を見つけました。宮崎県支部に問い合わせたところそのお宅をを紹介していただくことができたので、繁殖のようすについて詳しく伺いました。

昨年12月初めのことで、もう二ヶ月過ぎてしまいましたが、宮崎と鹿児島で越冬ツバメを見てきました。1月になって寒波のために南九州でも雪が降ったのでツバメたちが心配ですが、私が観察したときの様子をご紹介しましょう。

ツバメの越冬地 2016年04月23日

ツバメの越冬地は台湾より南の地域で、東はインドネシアから、南はインドや西アジアのほうまで続いています。日本のツバメがどの範囲の国々で越冬している かは、まだはっきりしていませんが、私は日本で足環を付けたツバメが捕獲されたことのあるマレーシアのボルネオ島の越冬地を、2008年2月に訪問してき ました。そのときの様子をお話ししましょう。

さて、ボルネオ島のツバメの集団越冬地「ケニンガウ」に到着したところから話を続けましょう。ケニンガウの場所は、二つ前の記事に載せている地図をご覧下さい。

ケニンガウの第一印象は、にぎやかな街だなということでした。ツバメがねぐら入りする街の中心は商店街で人通りが多く、100m四方ほどの広場では、これから開店するたくさんの露天の準備が始まっていました。

ツバメとリュウキュウツバメとのファーストコンタクトを終えて、車はさらに峠道を進み、とある食堂の建物を見つけました。

2008年2月19日~25日まで、マレーシアのサバ州でツバメを見てきました。マレーシアは、大きくはマレー半島とボルネオ島の北側(南側はインドネシア領)の二つの地域に分かれていて、ボルネオにあるサバ州とサラワク州は比較的開発が進んでおらず、車で何時間走っても町はまばらで、緑の森が続いています。少なくとも、今回私が通った道路沿いに限って言えばそういう風景でした。