ツバメ図鑑

泥で巣を作る理由

どうしてツバメは泥で巣を作るのでしょう?

泥で巣を作る鳥はとても珍しくて、ツバメの仲間以外で泥の巣を作るのは南米のカマドドリくらいかもしれません。カマドドリの巣はとても丈夫で、雨に濡れても壊れな いのだそうです。一方のツバメの巣は雨に弱いので、そのことが、ツバメが人家に巣を作る理由のひとつなのでしょう。

カマドドリの巣(※)

ツバメの巣は人間が作った建物以外の場所では、ほとんど見つかっていません。雨の当たらない崖の下にツバメの巣がある写真を見たことがありますが、この世界に人間が広く住むようになる以前、ツバメは雨を避けて、崖下や洞窟の中などに巣を作っていたと考えられています。

それにしても、雨の当たらない場所にしか巣を作れないなんて、不便だと思いませんか? どうしてツバメは泥という独特の材料で巣を作るようになったので しょうか? じつはツバメの祖先が使っていたのはカップ型の巣ではなく、ショウドウツバメのような砂質の崖に堀った巣穴だったようです。ツバメの仲間の DNAを分析すると、ショウドウツバメはツバメ類の祖先に近い遺伝子を持っていて、このグループのツバメはいまでも巣穴で繁殖していることがわかっています。

つまり、ツバメが泥を巣材に使うのは、巣穴を掘っていた祖先の習性を引き継いでいるからなのです。カップ型のツバメの巣は『巣穴の奥の卵を産む場所だけを再現した形』だったのです。

参考文献

Winkler, D. W., & Sheldon, F. H. (1993). Evolution of nest construction in swallows (Hirundinidae): a molecular phylogenetic perspective. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 90(12), 5705–7.

(※) This image was originally posted to Flickr by Dario Sanches at http://flickr.com/photos/10786455@N00/2270719765. It was reviewed on 2 October 2009 by the FlickreviewR robot and was confirmed to be licensed under the terms of the cc-by-sa-2.0.