===================================
週刊つばめニュース1号(2015-04-10) NPO法人バードリサーチ 神山和夫
===================================
毎週金曜日発行。
メールマガジンの登録・解除はこちらのフォームで行えます:http://goo.gl/7EjOaH
-----------------------------------

【毎年同じツバメが戻ってくるの?】

全国のツバメ好きの皆様。バードリサーチの神山和夫です。
各地にツバメが戻ってきた今月から、彼らがまた南へと去る8月までのあいだ、週刊つばめニュースを発行しますので、どうぞお付き合いください。

ツバメは日本のほとんどの地域で見られる渡り鳥です。「ほとんど」と書いたのは、実はツバメがいない場所もあるからです。北海道は函館周辺など南部以外ではツバメの数は少なく、営巣場所もも本州のような人家よりも牛舎や厩舎で多く見られます。沖縄県は春と秋の渡り時期に通過していくだけで、ツバメは繁殖していません。沖縄より少し南の台湾ではツバメが繁殖するので、台湾と九州の間にある沖縄でツバメが繁殖しないのは不思議ですが、一般的に野鳥は島には定着しにくいようです。もちろん、沖縄にも繁殖できる条件はそろっていますので、将来、ツバメが繁殖を始めることがあるかもしれませんが。


■古巣に戻ってきたのは、去年と同じツバメ夫婦なの?

ツバメについての質問ナンバーワンは、この「古巣に戻ってきたのは、去年と同じツバメ夫婦なの?」ではないかと思います。ツバメに足環を装着する調査で分かってきたことですが、ツバメは生きている限り、翌年も、ほぼ同じ場所に帰ってきます。

★同じ巣に戻ってくるの?

昨年のバードリサーチ集会で福岡賢造さんが発表して下さった、大阪府の河内長野市の商店街で行った足環調査の結果によると、翌年も同じ商店街に戻ってきたツバメは約4割で、さらにその中でも4割程度が前年と同じ巣に戻っていたそうです。そうすると、オス・メスのどちらかが同じ巣へ戻ってくる率は15%くらいになります。

商店街に帰還したツバメのうち同じ巣に戻らなかった6割がどのくらい離れた場所で営巣したかはお聞きしなかったのですが、少なくとも商店街のどこかにランダムに戻っているのではなく、前年の巣を好んでいることは明らかでしょう。もしかしたら、その他のツバメも前年の巣の近所に戻っているのかもしれませんね。

ここまでは、おそらく、ツバメの大家さんたちが期待されるとおりだと思います:-)

★同じ相手と夫婦になるの?

それでは、前年の夫婦の両方が戻ってきた場合に、また同じ相手と夫婦になるのでしょうか? これについては、私たちの期待に反して?、翌年は別の相手と夫婦になるツバメが多いことが分かっています。

新潟県上越市で新井絵美さんと長谷川克さんが行った調査では、前年のツバメ夫婦がどちらも無事に戻ってきたケース26組のうち、再び夫婦になったのは9組だけでした。面白いことに「再婚」した9組はすべて、オスがメスより先か、オス・メス同日に調査地に到着したケースだったそうです。一方、メスがオスより先に到着した場合は、別のオスと夫婦になってしまったそうです。

そう聞くと、ツバメのメスはちょっとひどいんじゃないかと思われるかもしれませんが、人間には分からないツバメの事情があるのでしょう。私の想像ですが、ツバメは翌年も生きて戻ってこられるとは限りませんから、その年にできるだけ多くのヒナを残さないといけません。オスは去年一緒にヒナを育てたメスと再婚した方が、繁殖能力が分からないメスと結婚するよりも、確実に卵を産んでもらえる可能性が高いでしょう。しかしメスの側は、もっと多くのエサを運んでくれるオスや、(ヒナに遺伝する)体格のいいオスを選んだ方が得なのかもしれません。

ツバメの平均寿命は二回繁殖に戻ってこられる程度ですから(実は7~8割は1歳まで生き残れないのですが、それは平均寿命から除いています)、パートナーを選ぶときには子孫を残せる条件を厳しく見極めているのではないかと思います。

どうも初回から皆さんの夢を壊すような話になりましたが、前述の大阪の調査では4年連続して同じ巣で、同じ夫婦がヒナを育てた例もあったそうです。健康で相性のいい夫婦は長続きするようですね。長生きのツバメもいて、新潟県の六日町では13歳のツバメの記録もあります。


■今年のツバメは出足が早い?

今週初めに毎年ツバメを見ている道の駅に行ったところ、いま時期にしてはかなり多くのツバメが飛んでいました。ここ数日は寒の戻りがありましたが、三月から四月にかけて暖かい日が多かったせいか、ツバメの出足が早いのかなと思いました。皆さんのご近所はいかがでしょう? このメールへの返信でお聞かせいただけると、ありがたいです。