※この内容は2005年8月7日に開催された第一回全国ツバメサミットについてのものです。

毎年同じツバメがやってくるのかな?
日本野鳥の会 大阪支部 福岡賢造

調査地区
大阪府河内長野市南町、木戸町(南海電鉄「千代田駅」周辺)

調査期間
1989〜2000年の繁殖期(1994年は休止)

調査方法
育雛期の巣の近くでねぐらをとる成鳥を、かすみ網またはタモ網を用いて捕獲。
同時に巣内のヒナにも足輪を付けて放鳥し、成鳥とヒナの帰還率などについて調査した。

調査結果
成鳥オス225羽、成鳥メス235羽、巣内ヒナ1435羽に足輪を付けることができた。
下表に年度別の捕獲データを示す。
 

調査
年度
調査
巣数
オス成鳥
メス成鳥
ペア捕獲
ヒナ
新規
リタ-ン
旧巣
新規
リタ-ン
旧巣
新規
リタ-ン
旧巣
新規
リタ-ン
1989
23
25
25
10
10
5
1990
33
18
5
23
1
15
0
15
0
7
0
56
1991
36
21
2
23
0
17
2
19
0
15
0
120
1992
45
16
8
24
3
15
5
20
0
13
0
39
1993
65
24
10
34
5
23
7
30
3
20
1
1
184
2
1994
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
1995
53
34
8
42
2
44
1
45
1
33
0
138
1996
28
22
6
28
2
17
9
26
4
9
3
51
1
1997
34
8
7
15
6
9
4
13
3
6
1
1
170
1998
53
17
6
23
5
19
2
21
2
10
0
195
1999
53
21
17
38
7
38
5
43
4
25
3
1
218
2
2000
53
 19
11
11
6
 28
8
8
2
 32
0
 259
3
476
*206
80
286
37
*207
43
250
19
*138
8
3
*1176
8
帰還率
38.8%
13.5%
20.8%
7.9%
5.8%
2.2%
0.7%
新規:
新しく足輪を付けたツバメの数
リターン:
足輪がついたツバメを捕獲した数
旧巣:
以前に足輪を付けたときと同じ巣で捕獲した数
*:
2000年に新しく足輪を付けたツバメの数は除いてある。 ( )付数字が隙いた数。

成鳥オスにおいては放鳥数206個体(2000年を除く)に対し、リターンが80例、
帰還率は38.8%であった。また、そのうち前年と同じ巣に戻った例が37例、13.5%であった。
 

成鳥メスにおいては放鳥数207個体(2000年を除く)に対し、リターンが43例、
20.8%で、前年と同じ巣に戻った例は19例、7.9%で、いずれもオスより低い値を示した。
 


幼鳥(巣内ヒナ)では、1176羽の放鳥数に対し、リターンは8例で、0.7%の帰還率であった。帰還がみられたヒナの性比は、オス6個体、75%に対し、メスが2個体、25%で、オスの方が多く帰還する傾向がみられた。



巣の近くで雌雄同時に捕獲できたペアで次年度に同じペアで捕獲できたペア数は、捕獲数138ペアに対し、8ペア、5.8%で、さらにそのうちの前年と同じ巣で捕獲できたペアは3ペア、2.2%であった。



つがい関係については、前年度と同じつがい相手を選ぶ例は少なく、むしろ異なる相手とつがいとなるケースが多くみられた。
また、同じ年で1回目と2回目でつがい相手を変えて繁殖する例がみられた。経年連続で捕獲できた個体と営巣場所のデータを以下に示す。




♂足輪番号2E−76761について
このツバメは少なくとも10年間生きていたことになる。


4年連続ペア ♂足輪番号2N−63310と♀足輪番号2N63311について
結果ァ↓Δら考えると、前年と同じ場所で同じペアが4年連続繁殖は珍しいケースといえるだろう。


♂足輪番号2R−32044について
毎年巣を変えているが、移動距離はほぼ100m以内。


♀足輪番号2R−32131について
3年連続同じ巣を使用したメスのツバメ。

営巣場所の移動がみられたものの多くは100m以下の移動がほとんどであったが、300mを移動したものが1例、また500mを越えるものが1例観察されている。
 

帰還率の算定基準となった捕獲データは、該当する調査地域で繁殖する全個体を網羅的に捕獲したものではなく、各調査年とも捕獲できなかった個体があるため、必ずしも正確な数値を示すものではなく、大まかな傾向を示すものであると理解されたい。




ねぐらと繁殖地間でのリカバリー

1997年に奈良県平城宮跡のねぐらで捕獲された幼鳥1羽が1999年に調査区域でリカバリーされた。


1998年に調査区域で足輪を付けた巣内ヒナ2羽、大阪市都島区で足輪を付けた巣内ヒナ1羽の計3羽が堺市太平寺のねぐらで巣立った同じ年にリカバリーされた。


結果の考察




つがい関係については、前年度と同じつがい相手を選ぶ例は少なく、むしろ異なる相手とつがいとなるケースが多くみられたことから、雌雄ともに帰還しても、再び同じペアで営巣することは少ないと考えられる。これは、昨年と同じ相手を探してペアになるのではなく、早く来た順にペアになるためかもしれない。



近親交配を避けるため、ヒナは生まれた地域へは帰ってこないと言われており、専門家によるとその帰還率は0.5%程度という。それと比べると今回調べた幼鳥の帰還率0.7%は若干高い値かもしれないが、通常の範囲内と思われる。